Duffelcoatの歴史【第8回】
- sweetkasisu
- 1月20日
- 読了時間: 3分
1. 「水兵帽」を脱がずに被るという絶対条件
ダッフルコートのフードが一般的なコートよりも一回り以上大きく作られている最大の理由は、「帽子の上から被る」**ことを前提としていたからです。
当時のイギリス海軍の水兵たちは、制服の一部として「ボナコン(水兵帽)」や作業用のキャップを着用していました。極寒の海上では、フードを被るためにわざわざ帽子を脱ぐという行為は、体温の低下を招くだけでなく、狭い甲板上での作業効率を著しく下げてしまいます。
そのため、ダッフルコートのフードは、厚手のウールで作られた帽子を被った状態でも、すっぽりと頭部全体を包み込めるだけの容積を確保する必要があったのです。
2. 視界と保護を両立させる「パンケーキ型」の構造
初期のダッフルコートのフードは、現代のような立体裁断よりも、平らに置くと円形に見える「パンケーキ型」に近い構造をしていました。この形状には二つの大きなメリットがあります。

顔全体の保護: 深く被ることで、横からの強風や、凍りつくような飛沫(しぶき)から頬や耳を完全にガードします。
調整の柔軟性: フードの開口部には、スナップボタンや紐(ドローコード)が備わっており、状況に応じて「目出し帽」のように絞り込むことができました。これにより、激しい嵐の中でもフードが風で飛ばされるのを防いでいたのです。
3. 「チンストラップ」による完全防備
フードの設計において、もう一つ欠かせないのが**チンストラップ(喉元のタブ)です。 大きなフードは、そのままでは首元から冷気が侵入しやすいという弱点があります。しかし、ダッフルコートは首元に幅広のストラップを配することで、フードの根元をしっかりと密閉できるよう設計されました。
このストラップを留めることで、フード、襟元、そして肩のヨーク(二重構造の生地)が一体化し、まるで潜水服のような気密性を生み出します。水兵たちは、この重厚なフードを被ることで、氷点下の甲板作業でも「顔の感覚を失わずに済んだ」と言われています。
4. 現代ファッションへの継承と「小顔効果」
戦後、ダッフルコートが学生や一般市民に普及した際、この「大きすぎるフード」は意外な形で歓迎されました。
本来は機能性の追求から生まれたボリュームのあるフードですが、背中側に垂らした際に生地が重なり合うことで、視覚的に**肩幅を広く見せ、相対的に顔を小さく見せる「小顔効果」**を生んだのです。また、現代のカジュアルウェアとして着用する際も、パーカーやニット帽をレイヤード(重ね着)しやすいという実用性は、海軍時代の「帽子の上から被る」という設計思想が今も息づいている証拠と言えるでしょう。
まとめ:実用が生んだ究極の造形美
ダッフルコートのフードは、単なる飾りではありません。それは、冷たい海風から兵士を守り抜き、いかなる状況下でも任務を遂行させるために計算し尽くされた**「命を守るためのシェルター」でした。
次にダッフルコートを羽織る際は、ぜひフードを被ってみてください。その圧倒的な安心感の中に、かつての水兵たちが感じた「機能美」の真髄を見出すことができるはずです。
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