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Duffelcoatの歴史【第4回】

  • sweetkasisu
  • 3 日前
  • 読了時間: 2分

【第4回】特徴的な留め具:トグルボタンの誕生秘話

ダッフルコートの象徴であり、そのデザインを決定づけている最大のアイコンが、棒状の「トグルボタン」とその「ループ」による留め具です。この特徴的なディテールには、極寒の海で働く漁師たちの、生存のための切実な知恵と工夫が凝縮されています。


1. 誕生の着想:船と漁の道具


トグルボタンは、単なる装飾ではなく、機能性を追求した結果生まれたものです。その着想源は、海での仕事に欠かせない要素から得られたと考えられています。

  • 「留め木」からの転用説: 最も有力な説として、船の帆やロープを甲板に繋ぎ留めるための**「留め木(ペグ)」**の構造からヒントを得たというものがあります。このシンプルな構造をコートに応用することで、ロープや紐に棒状のトグルを引っ掛けるという、極めて単純かつ確実な開閉方法が生まれました。

  • 「漁師の浮き」モチーフ説: また、漁師が網やロープの目印として使う**「浮き」**をモチーフにしたという説もあり、いずれにしても海での作業道具と深く関連しています。


2. 極限環境での機能美


このトグルとループの構造が、北欧の漁師たちにとって不可欠でした。

  • 手袋着用での操作性: 零度以下の強風が吹き荒れる船上では、手を寒さから守るために厚手の**ミトン(手袋)**が欠かせません。従来の小さなボタンやファスナーでは、手袋を外さなければ操作できませんでしたが、トグルボタンは、かじかんだ指先や厚い手袋をしたままでも、指先の感覚に頼らず、引っ掛けるだけで瞬時に留め外しが可能でした。

  • 緊急時の迅速な脱衣: 万が一、コートがロープや船の構造物に引っかかった際にも、トグルはすぐに外れやすい構造であり、命の危険から逃れるための迅速な脱衣を可能にするという側面も持っていました。

素材には、水に強く耐久性のある木や水牛の角などが使用されました。トグルボタンは、極寒の環境下で「いかに安全に、いかに素早く」行動できるかという、漁師たちの実用的な要求から生まれた「機能美の結晶」と言えるでしょう。

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