Duffelcoatの歴史【第3回】
- sweetkasisu
- 10月31日
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【第3回】北欧の漁師の知恵:原型となった作業着
ダッフルコートの具体的なルーツをたどると、「北欧の漁師が着用していた極寒の海での作業着」という説が最も有力です。この作業着は、過酷な環境で働く海の男たちの実用的な知恵と工夫が凝縮されたものでした。
1. 極寒の海に対応する素材
スコットランドや北欧の漁師たちが暮らす地域は、強風が吹き荒れ、冷たい海飛沫が絶えずかかる厳しい環境です。彼らが着用していた原型となるコートは、この極寒の環境から身を守るために、厚手のウールメルトン生地で作られていました。
この生地は、織りが非常に密であるため、高い防寒性と、ある程度の撥水性を兼ね備えていました。これにより、凍てつく風を遮断し、多少の雪や雨、海飛沫を弾くことができたのです。
2. 作業効率を高めるディテール
現代のダッフルコートの最も特徴的なディテールは、漁師たちの作業着としての機能性を追求した結果生まれたものです。
トグルボタン(Toggles): ダッフルコートの象徴であるトグル(角状の留め具)は、極寒の船上でかじかんだ手や、厚手の手袋(ミトン)をはめたままでも、素早く、確実な着脱ができるように考案されました。一般的なボタンでは難しかったこの操作性を実現した、漁師ならではの知恵です。素材には、耐久性の高い木や水牛の角などが用いられました。
大きなフード: 頭部を冷たい風や飛沫から守るためのフードは、厚手の帽子やキャップの上からでもすっぽりかぶれるよう、大きめに作られていました。
ゆったりとしたシルエット: 船上での動きを妨げないよう、コート全体がゆったりとしたシルエットになっていたことも、作業着としての実用性を物語っています。
過酷な環境で働く男たちの「生命を守り、作業を容易にする」という知恵が、ダッフルコートの原型を形作り、後の時代に受け継がれるデザインの基礎を築いたと言えます。








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